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「……なあ。ちょっとぎゅってさして」
「えっ」
サチコさんがなぜそんなことを言い出したか、当時のオレには理解できず、ただ慌てるばかりだった。
「でも、いいんすか、まずいっすよ」
うろたえて、訳の分からないことを言うオレに、サチコさんはくすくすと笑った。
「ほんま、可愛いなぁ。弟のこと思い出すわ……」
「えっ、あっ……」
膝立ちしたサチコさんに抱きしめられた。頭を抱えられ、胸に押しつけられる。
「ヤバイっすよ……」
ふくよかな感触と、かすかに漂う甘い香りに頭が真っ白になる。
顔が熱くなり、自然と汗が噴き出るのを止めることなどできなかった。
「なにが、ヤバイのん?」
おかしそうにサチコさんはそう言って、オレの頭や髪をその指で撫でつけはじめた。
「弟がな、まだ小さいとき、こうやってよう甘えてきたんや。姉ちゃん、抱っこして、いうて」
サチコさんの優しいささやき声。
そんな甘い声の響きもそうだが、サチコさんの胸の柔らかな感触にガキのオレの正直な反応が頭をもたげはじめる。
「え、あ、そう、なんすか」
そんなことを言いながらも、元気になってしまう下半身のことを、サチコさんに悟られることの方が気になってしまう。
「大きなってから、冗談で抱っこしたろか、いうたらな。アンタみたいに顔真っ赤にして嫌がってな。ようおちょくったなぁ」
おろおろするオレを尻目に、サチコさんはそうささやいて笑うと、抱きしめていた力を緩め、オレの両肩に手を置いてオレの顔をじっと見つめてきた。
「おちんちん、おっきなったんやろ。ふふ」
笑顔だけど、真剣な視線にオレは目を逸らすことができなかった。
「いや、あの、その……」
顔から火が出そうってのはまさにこういうことかも知れない。
ストレートなサチコさんの問いにオレはなにも言えなくなった。
黙り込んだオレの唇に、柔らかな感触が触れるのが分かった。
しっとりとして、そして鼻をくすぐるなんとも甘い香り。
サチコさんが、オレにキスしていたのだった。
うっとりと目を閉じるサチコさんの顔。
オレも、合わせるように目を閉じ、そしてサチコさんの唇に吸い付いた。
柔らかく、そしてむっちりとしたものがオレの口の中に入ってくる。
合わせるように、オレも自分の舌をそれに絡みつけた。
舌と舌とが触れあい、それに合わせて唾液が混ざり合う心地よさに頭が痺れそうになった。
「大人の、キスやで」
照れくさげにそう言ったサチコさんの表情に、オレの中の何かが吹っ飛んでしまった。
いつの間にか、オレはサチコさんを押し倒していたのだが、サチコさんは嫌な顔ひとつしなかった。
優しい、かすかな笑みさえ浮かべて、見下ろすオレをじっと見つめていた。
「……」
今度は、オレからサチコさんの唇に唇を重ねていた。
そっと、触れて、そして優しく吸う。
サチコさんがさっきそうしたように、オレもサチコさんの唇を舌でなぞり、そしてかき分けて差し込んだ。
サチコさんの腕が、オレの首に絡みつく。手のひらが、オレの髪をかき分け、撫でる。
それに合わせて、オレも舌をくねくねと動かし、サチコさんの口の中をなぞり、かき回していた。
「んんっ……」
かすかなうめきが漏れる。
ついさっき童貞を捨てたって言っても、それで劇的にオレの何かが変わるってもんじゃない。
どうしていいか分からぬまま、無我夢中で、オレはサチコさんのパジャマの上のボタンを次々と外していった。
全部外し、前をはだけるとぷるん、としたサチコさんの胸がこぼれ出る。
サチコさんはブラを付けていなかったのだ。
さっき一戦交えた時にも見てるはずなのだが、改めて見るとその肌の白さと柔らかな質感を感じて心が震える。
「めっちゃ、きれい、ですよ」
自然とオレはそんなことを口にしていた。
そして、キスの時と同じように、そっと唇を触れさせ、そしてついばんだ。
はむはむ……と唇で優しく噛むようにしてから、赤ちゃんみたいに、サチコさんの褐色付いた乳首を舐め、そしてしゃぶって吸う。
「あっ……んぅぅ」
サチコさんの吐息が漏れ、身体がかすかに伸び上がる。
もちろん、今だからこうやって書けるのだけど、当時はそんなに反応を確かめる余裕なんかない。
右、左、って代わりばんこに舐めたり吸ったりするだけだった。
ただ、女性の肌に触れていられるって実感は当時のオレにとってはそれだけでたまらないものだった。
今だったら、もっと色々とできたのだろうけど、おぼつかない手つきで胸を揉みながら、乳首に吸い付くので必死だった。
「……ね、お布団行って、しよ」
さすがに焦れたらしいサチコさんの言葉に我に返る。
「あ、はい、そうっすね」
それでも、サチコさんはあの優しげな微笑みをたたえたままだった。
オレががまだ若かったから許してくれたんだろうと思う。今なら、そこでおしまいのはず。
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